御食国若狭と鯖街道
御食国という古の言葉をご存知でしょうか。
御食国(みけつくに)とは、古代から平安時代にかけて、皇室や朝廷に海の幸を中心とした食材を納めた国を指します。志摩国、若狭国、淡路国などが該当すると考えられています。
若狭湾では古来より豊かな漁場であり、塩や海藻類なども含めて奈良や京都まで食材を送り続けてきました。
鯖街道(さばかいどう)とは、福井県小浜市から京都を結ぶ街道群の総称で、古代から続く交流の道です。鯖をはじめとする魚介類を京都に運ぶ物流ルートとして発展し、多くの物資や人、文化を運ぶ道として栄えました。ルートも3つほどはあり、いまは国道367号となっている若狭街道を中心に活発に交易がなされていたそうです。
中でも、鯖は当時の京では喜ばれた品のひとつで、若狭で塩をふって京まで届ければちょうど良い塩梅になったと言われています。
国道367号若狭ー朽木ー京都ルート
国道367号(若狭街道・鯖街道)沿いでは、やはりその交易路であったことから、その道すがら鯖街道のイメージを彷彿とさせる鯖寿司を専門に扱うお店がいくつも立ち並んでいます。
そのすべてに立ち寄り、食べ比べるにも何度か街道に足を運んでいただく必要がありそうです。
その中のひとつに、舌の肥えた方でも唸るバランスが整った鯖寿司を提供してくださるお店があります。
鯖寿司 栃生梅竹さん

若狭町から30分程度、京都市内から50分程度の国道367号沿いに立っています。
10:30からの営業で、それまでは仕込みに精を出されており、時間ちょうどから注文に応じて鯖寿司をこしらえていきます。
鯖寿司は、元祖→特撰→特上→極上の4種類からなり、一本あたり二人前はあるしっかりサイズ。半分もオーダー可能です。
種類の差は鯖のサイズによるもののようで、身の厚さなどを存分に楽しむなら極上、ということになります。
作りはシンプルに、滋賀県産米、国内鯖(今回は宮城県産)、昆布、酢など調味料で添加物はなし。
手作りのため、商品によって多少の調味の違いはありますが、塩加減など調味の具合は適度でやさしめです。
特に、鯖の塩加減がこの鯖寿司の生命線かのように塩梅よく締められており、生に近い鯖らしさを強く表現してくれます。




まとめ
御食国若狭エリアから京都へつながる道、通称、鯖街道。
古来から高く評価された特産物を当時の日本のトップに献上する歴史ある道です。
もちろん、若狭には当時の姿を残す熊川宿があり、いまも京都は観光を中心に伝統や文化を残しながら発展しています。
その間を取り持つ道には様々な人が昔から関わり、物資だけではなく、人や文化などを届けていました。
現代となった今、そのひとつの食文化、鯖寿司を美味しくいただけるお店があり、特に個人的に好きな味の栃生梅竹さんを始めて選択肢を与えられています。
京都を楽しむだけではなく、少し足を伸ばして鯖街道を通り、若狭までお越しになられてみてはいかがでしょう。
Today is the first day of the rest of my life.