家を建てるのはあり?②

前回のあらすじ

衣食住は生活の基盤となり、重要な要素だと思いますが、それぞれの良し悪しを理解しつつ、未来に向けてどういう生活・どういった生き方をしたいのかを考え、方向性を出しておくことがまず大切なことになります。

家の賃貸・所有、それぞれの良し悪しを私見なりに整理していました。

それを踏まえ、知人の相談内容である、「奥さんの強い希望で片田舎に家を建てることになった。投資を並行してインカムゲインで住宅ローンを支払えるか?」について考えてみたいと思います。

論点1 片田舎に家を建てるということ

家が建つことで、新しい住まいとともに、家族が安心して暮らせる場所ができることは重要なことです。

その土地に根ざし、地域との交流も密にしつつ、アイデンティティの形成にもなっていくことでしょう。

しかし、家を所有する場合、何よりも立地が重要。1に立地、2に立地、3、4なくて5に立地、と言われるほど。

片田舎とされる、人口密度も低く、商業施設も少なく、経済が活発ではない地域に家を建てるとなれば、不動産において重要とされる、立地のほか、売却など視野に入れた出口戦略を打ち出すのも難しくなります。

さらに、木造住宅を建築する予定だとのことで、減価償却期間は22年。新築から23年後には上物の価値は実質ゼロ。

新築を建てても、住んだ瞬間から中古となり、価値は減少。

以上のことから資産価値は新築を建てた瞬間からかなり目減りしてスタートし、土地はさほど値段が変わらなくとも、22年間かけてじわりじわりと下がっていくことになると想像されます。上物で3000万円ほどの建築を考えているとのことで、その売却によるキャピタルゲインどころか、住宅ローンで購入した場合も含めて、相当な費用が住宅費にかけられ、結局、資産としてではなく、負債として残ることになります。

そして、売りたい時に果たして売れるかどうか。日本の少子高齢化の先にあるのは、住宅の購入者も減っていくということ。売れなければ、税金を払い続けるか、更地にするか。どちらにしてもジリ貧になっていく可能性があります。売れ残ってしまえば、子が引き継ぐことになりますが、子もどこで住むか、その選択は大きくなってみなければわからないことです。

論点2 投資を並行してインカムゲイン得ながらローン返済

案としていい線だと感じました。が、実際のところはどうなのでしょう。

彼の話によると、手元に現金2000万円がある。それを元手に全額投資に振り向けて、配当金でローンを返済する、というもの。

例えば、ETFの代表格として知られるVTI(※)は、5〜9%のリターンが期待できるとされています。仮に5%とした場合、年間100万円(税引前)、ざっくり80万円の手取りがあります。12ヶ月で割って、1ヶ月あたり6.7万円の収入。

※ 米国株式市場全体を投資対象

建物:3000万円 住宅ローン頭金なし、支払い期間35年、金利1%であって、単純に考えると8.5万円/月

1.8万円ほど毎月不足することになります。それ以上のリスクを取りに行くことは家族の生活も考慮すると危ないです。

そもそも、投資に有り金全てを注ぎ込むのはあまりに危険。

少なくとも、投資に回すのは余裕資金で、と言われていて、相当までに絞り込む必要がありそうです。

もう少し現実的な路線で検討してみましょう。

仮に、家族の毎月の生活費が30万円とし、万が一のために12ヶ月分の生活費、突発的な支出280万円を現金で確保するとしたら、640万円ほどは手元におく必要があります。住宅ローンの頭金に1000万円を入れてもいいとの話で加えると、実際の投資可能額は360万円ほど。

さらにそれらを踏まえ、住宅ローンは1000万円頭金とし、2000万円を固定10年利率1.2%で借入、借入期間35年で当初10年は月々6.8万円元利合わせて支払いが発生します。

投資可能金額を400万円とした場合、インカムゲインメインでいくなら、先にあったVTIで新NISAで成長投資枠と積立枠を満額360万円を投入して5%リターンと見積もると、年間20万円(NISAなら税負担ゼロ)を得ながら、成長性を期待して、どこかの時点で売却してキャピタルゲインを得るといったやり方もなくはないです。これでローン6.8万円から1.6万円ほど差し引いて月々5.2万円程度の住宅ローン支出とすることも可能。

得たリターンでVTIに再投資して、成長性とリターンを高める方策もあり得ます。

まとめ

論点1、2で検討しましたが、私はどちらかといえば、経済的に豊かであるかが一番で、次に心の安寧派です。そのため、よほどの余力があるのではないかぎり、個人的には片田舎に家を建てることはおすすめしないな、というのが私なりの実感です。

ですが、心の安寧を重視される立場であれば、経済的な側面を覆っても上回るメリットがあるはず。

現金2000万円もの資産を持っているのならば、家をもつという選択ではなく、資産形成を行い将来に向けた家計準備をスタートさせることが重要でしょう。未来には資産価値を失う確率の高い建物を建築するのではなく、自由度も持ちながら、奥様の勤務先の家賃補助も生かしながら、賃貸住宅に住まい、家族構成の変更がなくなる頃合いなどに必要であれば住宅の再検討も良いのではないかと思います。

今回の話を知人にしたところ、悩みが深くなったようでした。(知人は本当は家を建てたくない)

実は、今回の論点のゼロ時点で大切なのは、奥様がなぜ家を建てなければならないと考えるのか、家を建てる良し悪しを話し合い、未来の家族形成とビジョンを考えて本当に必要なことは何かを夫婦で話し合わなければならないことでしょう。

豊かな人生は、夫婦の家族ビジョン形成のあるなしで大きく変わってきます。

夫婦仲良く、きちんと話し合えるそうした家族形成は大切なことですし、それができれば、幸せな人生にもなりそうです。

Today is the first day of the rest of my life.

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