①から引き続き・・・理想と現実のギャップ
前回の記事では、中間管理職の実態アンケート調査結果によって、中間管理職の負担感とその背景の情景が見え、一方で、個人的な見解でしたが、私の目指した理想の中間管理職像をご紹介しました。
うまくいっているときは良いのですが、そうではないトレンドに入った場合に抜け出せるかどうかが鍵かな、と思います。
理想を追求したいけれど、現実は・・・実態アンケート結果のとおりで。
以下に、お恥ずかしい限りですが、私の管理職時代の心の中をご紹介します。
フェーズ1 やる気に満ち溢れた経験・スキルなしの管理職
2014年 営業課長になりたての私は、やる気に満ち溢れ、成果を上げるために試したいことが多々ありました。
営業チームリーダーとして直近まで現場最前線で培ってきた経験を活かして、ターゲティング、現状分析、課題抽出、アクションの優先順位作りなど、短期間で一気に整理し、10名以上いる部下と終日同行を月に14日実施。
各担当者と目標を確認し、その進むべき道筋を示し、そこに大きくはぶれないステップの踏み方を顧客訪問のプレ・ポストでもチェックしつつ、行動のフィードバックを行う、といった一連の「型」で走り続けていたのです。
部下のセールススキルの底上げを図ることが主目的であり、売れるマインドセットを行い、自信を持って顧客アプローチができるように成長を支援することに集中していた時です。
結果、前任の営業課長によるかつてのご指導のおかげもあり、赴任後、約半年で、全国50課ある中の35位から、15位までランクアップすることができました。
チームメンバーも「できるぞ」と自信を高め始めていたように思います。
1年目は上々の結果を残すことができ、みごと全国2位になることができました。
フェーズ2 評価の高まりが起こす勘違いした管理職
前述の「型」を徹底して継続した甲斐もあり、赴任後1年半で全国1位を獲得。
鳴かず飛ばずだったチームが1年半で全国1位になったことから社内での評価も急速に高まり、どうやったらそこまで変革できるのか、といった声をいただくこともありました。
失敗だったのは、そこで謙虚にいておればよかったのですが、自信が過信にもなっていた時代だったと振り返っています。
結果、私が部下へ求めるものが高くなっていくことになったのです。
顧客との面談スキルも60点ではOKを出さず、80点になるまで現場同行を通じてフィードバックし、話し合うなど、部下のわずかな成長を評価するよりももっと上をと至高する言葉になりがちだったのでしょう。私の理想とする型を彼らに押し付けてしまっている傾向があったのではないかと思います。
実績を出すことができた=やり方は間違っていない=部下もついてきている、という頭の中での図式が勝手に出来上がってしまって、それを正す上司も周囲もそして部下もいなかったのです。正しくは、気づかなかったのかもしれません。
結果、2年目後半にあった360度評価(パルスサーベイ)で、部下からもらった評価は実績の良い課(チーム)にはなかなか見られない低い点数。
ここで気づけばよかったのですが、どうして自分はこんな評価なのだろうと、一生懸命やっているのに、と辛くて結果に蓋をしてしまい、得た評価をもとに改善策を考え、アクションする勇気をその時は持てなかったのでした。
振り返ってみて
前述の実態調査結果からの抜粋です。
やる気があって、マネージャーとして打ち込み、売上成長と組織・人の成長という実績を上げるために集中して取り組んだものの、もちろん数字が上がったのは何よりでしたが、結果的に人的管理がなされていたのかなどは組織の形状のせいもあったのか、誰も気づくことができません。
結果、360度サーベイで惨憺たる結果に。
そこでようやく私の上司は気づくわけです。
マネージャーの孤独が上の結果でも多く感じている方がいらっしゃるのですが、孤独に感じる原因はさまざまだと思います。
私が早いフェーズで感じたのは、メンターのように正しい方向に向かって進めているのかを相談でき、的確にアドバイスをいただける方が身近にいなかった(あるいは私が集中するあまり求めていなかった)ことが失敗だったと思います。
まとめ
フェーズが変わっていくに従って、孤独の感じ方もさまざまです。
中間管理職になりたての私は、自分の理想を突き進むがあまり、結果は出したものの、部下が置き去りになっていた、というのが実態だったと思います。
すると、もっとも重要な部下との信頼関係という点で、溝を作ってしまっていたのではないでしょうか。
結果、部下に再現性ある営業力を身につけてもらうという理想を抱えて奔走しても、その部下個人ごとに個性や現力量を理解しながら、型にはめ過ぎず、個人に合わせて成長を促すということができていれば、私自身は最初の段階での孤独を味わうことがなかったのでは、と反省。
オーダーメイドな、個人に合わせた成長サポートが管理職には求められていると思います。簡単に言いますが、結構これが難しい。時間もかかるし、他にもやらないといけないことがあり過ぎて、おざなりになってもしまいがち。
中間管理職。それは、頭も気も使うことが多くなり、同じような立場や状況に立たされている人が身近にいなければ、真綿で首を絞められるように徐々に窮地に陥ってしまう、そんなポジションのように感じた瞬間がありました。
これも自分自身の立ち回り方次第でもあります。
こうしたしがない事例ですが、何かを感じとり、中間管理職を経験されている場合には、反面教師のようにしていただき、うまく組織の中での舵取りをしていただければ今回ご紹介した甲斐もありそうです。
Today is the first day of the rest of my life.